年末なので

 お久しぶりです。前回の更新からは2ヶ月しか経っていないようですが、いろいろなことがありまして、時間に断層的な変化が感じられたこの半月。前回の更新もこの記事で触れる中国旅行もさも2年前のような感覚です。それでですね、今年は自分にとってどんな年だったか?と聞かれると先述のできごとはさておきやはり「中国イヤー」だったと思います。4回も(広義の)中国に行くことになるとは正直去年の僕は思ってもいなかったでしょう。というわけで今年最後の記事は中国の旅行記です。

 9月末に中国に行ったのは前回のまとめでも触れたとおりですが帰ってきてすぐに人民鉄路が恋しくなってしまいました。更にその2週間後に片道10000円弱で航空券が取れるセールをやっていたので授業がない学園祭の期間のeチケットお客様控えを産出。前回の中国も共にしたオタクと2人で行くことに。ほんと中国は近くてお気楽に行けていいですね。

 

1日目 自宅→重慶

 重慶、皆さんは知っていますか。中国の4つある直轄市のうちのひとつですし、データによっては東京を抜き「世界一人口の多い都市」だなんて言われたりするところ*1なのでそこそこ有名な街ではないでしょうか。そんな重慶、長江沿いの盆地の中にあるわけですが、その長江によって非常に巨大な河岸段丘が形作られているため、町の中は坂?というか崖だらけ。その為、市内の軌道交通としては一般的な地下鉄の他にモノレールが中国では唯一導入されている街だったります。さらにそのモノレールは中国がまだ発展途上だった時期から造られたため、日本のODAや技術協力で建設されていたり、中国特有のダイナミックな構造物があったり、更にはその路線とは別に中国が独自の技術で近年完成させた路線があったりと見どころ満載。そんな重慶がこの旅の一番の目的地であるので成田から直行便で直行。

 ご利用はいつもの如くピンチケ航空IJさん。プレハブピンチケターミナルからピンチケな時間帯に乗り込みます。鷺沼の始発電車じゃないと2時間前に空港に着けません。あまり冴えないままたどり着いたチェックインカウンターも既に人民だけで溢れかえっており、成田なのに周りからは一切日本語が聞こえません。早速人民の洗礼を受けていますね。

 ただピンチケターミナルといいつつも保安検査が混んでるのはいつも国内線だけ。駅からは遠いけどT1やT2よりもこれに関しては遥かに人権があると思われるガラガラの保安検査場とイミグレを通り抜け適当に時間を潰します。搭乗後に機体トラブルかんかで一悶着あり空港を40分ほど遅れて飛び立ちます。

 6.5時間のフライトです。ピンチケフライトではかなり長い部類に入るんじゃないでしょうか。退屈で窮屈なフライトでしたが1万でこれだけの距離を飛んでいるのですから文句は言えません。遅れて飛び立ったものの重慶江北空港到着はほぼ定時でした。到着した第3ターミナルは非常に綺麗で新しいのですが、出来たばかりなのでATMすら見つけられず。しょうがないので第2ターミナルまで免費巴士で移動。無事ICBCのATMを見つけて現金を引き出します。やはり両替はレートが悪いのでこの方法が一番安く済みますね。その分今みたいにATMを探す手間がかかりますが。

 さていよいよ重慶の軌道交通に乗ります。とりあえずホテルに荷物を置くために移動しますが乗っけからモノレールです。しかしこのモノレールは3号線という先述の中国が独自に(といってもほとんど日立の技術供与したのを転用)造った路線です。まあなんというか、かなり混みます。龍頭寺という駅までは10分に1本しか電車がないのでそれも混雑に拍車をかけているようです。因みに車窓はめちゃくちゃ面白いです。湘南モノレールを更にエキサイティングにした感じで、スピードは出しますが坂は多いし、おまけに一部の区間では建物との距離がかなり近くなっています。とりあえず、ホテルの最寄駅、獅子坪で下車し、ホテルに荷物を投げ込みます。

 ホテルは雑居ビルの中のワンフロアをテナントとして貸し切りその中に客室があるという日本では見ないタイプのものでした。ホテルのフロントは例のごとく英語すら通じないのですがハートフルコミュニケーションで事なきを得ます。部屋も広く立地も高速鉄道の発着する北駅から徒歩10分ほどなのでこれで一部屋4000円強となるとかなりコスパはいいですね。4時前にはつけたので少しはんなりしてから市街へ。

 繁華街で観光する前に、今回の旅行で使う人民鉄路の切符を仕入れます。日本からも予約できるのですが、代理店経由でしか出来ない為世紀の運賃の他に、手数料もかかってしまいます。なので空席情報を人民鉄路の公式サイトで照会しながらギリギリで取ると埋まってしまいそうなものだけを代理店経由で予約し、それ以外のものは付いたその日のうちに駅でまとめて買ってしまおうというわけです。ちなみに日本のみどりの窓口と同じ様に、全国の切符を窓口がある駅であればどこでも買うことが出来ます。ここで最終日に乗る予定だった青島→天津の特快列車の寝台が埋まっていたことに気づきましたが、同じ区間にたいてい何本も寝台列車が走っているのが中国のいいところ。快速列車の寝台を取ることで難を逃れました。

 駅での作業も終わり、繁華街へ。先程も乗った3号線に乗り牛角沱へ。こちらで3号線から2号線に乗り換えます。この2号線もモノレールですがこちらは日本のODAでつくられた路線です。そのためここを走る車両も大阪モノレールそっくり。全くの別系統なので階段を下ってホームを換えますが、モノレール同士の乗り換えというのもなかなか新鮮です。そのまま中心部の最寄り駅、臨江門駅へ。

 地下駅から地上に出るとまあそこは高級ブティックやらが立ち並び銀座のような雰囲気を醸し出していおり、まるで資本主義国家にいるかのような感覚に陥りますが、中国は「「社会主義国家」」でしたね。サギンから坂を下り10分、川沿いのビルのライトアップやそこそこ有名な建物(といってもレプリカ)を見ながら1駅分歩きモノレール2号線の黄花園駅へ。この駅は川沿いにあるのでなかなか駅のホームからもきれいな夜景が見られます。来た道を引き返しホテルへ戻り地ビールを飲み就寝。ビールは味が乗っててそこそこうまかったです。

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洪崖洞。駅近くに佇む観光名所で、崖にへばりつく伝統建築「風」の建物。



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夜景もプロパガンダ

 

2日目 重慶成都

 この日は思いっきり重慶を堪能します。無料の中国特有の饅頭と味のない粥で朝食を済ませ、チェックアウト。地下鉄の1日票を18元で買い、荷物を夕方成都まで行く高速鉄道が発着する北駅の北広場の荷物広場へ預けます。ところでこの重慶北駅、構造が他の人民鉄路の駅と比べても遥かに構造が複雑になっています。というのも重慶北駅は北広場と南広場があるのですが、それぞれが駅の構内で繋がっていないどころか駅の外にもそれぞれを結ぶ地下通路なり跨線橋が存在しないのです。地下鉄も2路線この駅に発着しているのですが、入口が3号線が南広場にのみ、10号線が北広場にのみ設置されており、両者の間は地下鉄でも行き来できません。(3号線から北広場へのアクセスは隣の龍頭寺駅がつかわれているものの徒歩10分はかかった。)歩いて移動するには駅から少し離れた西側の陸橋を渡らざるをえず、距離にしておよそ3kmほどあります。その結果、北駅と南駅の間は622系統という2元の有料のバスで移動する他ないのです。切符の上には「北広場」と印字されているのですが、こんな構造の駅、中国国内にもここ以外私は知りませんから大混乱は必須のようで、旅行者のブログを見ると間違えたみたいな記事をよく見ます。なんとかならないんでしょうかね。因みに自分らはホテルから10号線の駅まで歩き、そこから直に北広場へ行きます。

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重慶北站北広場駅。未開通の路線の乗換案内をしないでください。

 荷物を預けた後は鉄オタタイム。とりあえず2号線を乗り通すために地下鉄を3路線ほど乗り継ぎ始発駅の較場口へ。景色の見えそうな席を陣取り、ひたすら乗り通します。始発駅は地下ですがいきなり地上に出てビル6階分の高さを走ってると思ったらいきなり地下に潜ったりかと思ったらはたまた高いところを走ったり掘割を走ったりと、まあ見てて飽きない路線です。終点の魚洞まではちょうど1時間くらいの道のりです。この魚洞は3号線の始発駅にもなっており、今度は3号線で戻りつつ、途中の両路口で下車。鉄オタごっこをします。

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オタクじゃないからこれが限界。

 とてもガスっていますがなかなか凄いです。8連のモノレールなんかは日本じゃ見れないですから圧巻ですよね。その後、自分の海外鉄への興味の原点とも言える場所へ…。

 

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 ここは、李子坝駅です。こちらビルの7階にモノレールが突っ込むなかなかアグレッシブな駅です。廃止になった姫路モノレール大将軍駅なんかを彷彿とさせる作りですが規模はこちらのほうが格段にデカイです。この光景は鉄オタに限らず一般ピープルにも人気なようでビル下の歩道は観光名所として整備され、観光バスで乗り付けるツアー客の大群も見受けられました。

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こんな説明までご丁寧に。ここが地球の歩き方に載る日も近い…?

 かれこれ30分位眺めた後駅の裏側へ。あんな高かったモノレールが駅の裏側に行くとこんな近くになります。そもそも駅のホームがこの高さにあるのでビルの下側がおかしいという話なんですけれども。事前に見当をつけておいた撮影地へ向かうも中国お得意の歩道工事で塞がれて撮れず、愚痴を言いながら隣の仏図関駅へ。駅の横にはモノレール建設を称える記念碑を見つけたのでいろいろ眺めていると手形と一緒にしっかりと日本人の名前もありました。

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轻轨建设者

 その後、やりたいことも終わってしまったので沿線の比較的発展している街謝家湾へ行こうと思ったのですが、電車を待っているとうまい具合に初期車が来たので終点まで乗車。初期車は他の大多数を占める技術協力の上で現地で造られた中期車や後期車と違い、日本の日立で造ったものをそのまま輸出しています。その為、特にこの編成は車内が大阪モノレールそっくり。特に注目したいのが、初期車のみ行き先が方向幕になっているのですが、この方向幕、これも大阪モノレールと同じ丸ゴシックで簡体字の駅名がデザインされています。美しいですね。

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津田英治が「ジャオチヤンコウ」とか喋ってそう

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豊中市あたりを走ってそう

 終点から本来の目的地・謝家湾へ折返し、遅めの昼食をということで飯屋を探します。が、気力がなくなったので駅直結のショッピングモールの中のDicos*2で飯を済まし、沿線の撮れそうなところを前面展望で探しがてら再び中心街の較場口へ。何気なく見つけた臨江門と黄花園の間で適当に日が落ちるくらいまで撮影し、本日の宿、成都へ向かう為北駅へ。

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基本的に走行中は消灯するらしい

 思ってた以上に早く駅に着いたので従来抑えていた列車より1本早いものへ乗車変更。駅の中の李先生*3で時間を潰した後、2時間ほどで成都東へ。成都東到着は22時近くなっていました。ホテルは成都東駅前なので即入庫、就寝。と行きたいところなのですが少し事件が起こります。このホテル、実は同じところを取っていたのですがチェックイン時刻が19時までというプランを予約していることに旅行出発直前に気づき、慌てて同じホテルのチェックイン時刻に縛りのないプランへ変更…したのはいいのですがその時の焦りからどうやら「ツイン」ではなく「ダブル」を取ってしまっていたようなのです。オタク2人で1つのベッドに寝なければいけないと知った我々は驚愕。ロビーで予約を変える、というのも言語が通じるならできるかもわかりませんが既に疲れておりふたりとも中国語は「没有」くらいしかわからない始末。結局そのままベッドインし夜を明かしましたとさ。うんち。

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中国の文明式構文のプロパガンダで一番すき

3日目 成都西安車中泊

 清々しい朝ですね。これからは寝台4連泊をするのでもうホテルでは眠れません。最後のホテルがこのザマで悲しいなぁ…。

 成都に来たのは一つ目的がありまして市郊鉄路である成灌鉄路に乗るということ。市郊鉄路というのは都市から郊外の衛星都市を結ぶ路線のことで、関東に例えるなら中央快速線だの小田急だの想像していただければ早いわけですが、中国国鉄は基本的に客車列車か高速鉄道しか基本的には運行していないのでこのような位置づけの路線を運営するにあたってはどちらかを選択しなければなりません。そのため、50kmという路線長ながらここを走る車両は高速鉄道仕様(それでも少しグレードダウンはされてる)のもので、路線の最高速度は220km/hで設計されています。田園都市線も新幹線走らせて最寄りから渋谷まで5分くらいで着いてくれねえかなぁ。日本でも経済成長の時代は通勤新幹線みたいな構想がありましたがまさしくそれが実現したら…みたいなのを具現化している乗りものではないでしょうか。

 東駅から成都地下鉄で成都駅(北駅)へ。成都から離堆公園まで15元、およそ30分の高速鉄道によるショートトリップ。本当にあっという間です。終点の離堆公園はフルスクリーンホームドア完備の地下駅でさながら地下鉄駅のようです。成都からはるばる30分(短い)かけて来てただ折り返すのは勿体無い。この離堆公園駅、その名の通り離堆公園があるのですがこの公園、ちゃっかり世界遺産だったりするんですね。というわけで観光です。

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これが近郊電車

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離堆公園駅。普通に地下鉄の駅っぽい

 離堆公園というのは愛称で性格には都江堰なんぞと呼ばれていますが、いわゆる灌漑施設です。詳しい説明はWikiなりなんなり読んでもらえばわかると思うので割愛しますが、紀元前から巨大な範囲を灌漑する水利施設を造っていたそうです。まあよく考えるわなぁという仕組みで中国3000年のの歴史は伊達じゃねえな、と思うわけですよ。

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ここで水利してたらしい。専門じゃないのでよくわかりませんが。

 3時間ほどしかなかったので巻きでいろいろ観光したら2時間ほどで駅に帰ってきてしまいました。ここでこの市郊鉄路の欠点を痛感するわけです。本数が少ないという。想像もしてみてください。あくまで都市内交通の延長線上にあるような路線で3時間も間が空くんですよ。それならせいぜい市街地まで50kmくらいですから高速バスなりなんなりで都心に向かいますよね。総じてこの路線の感想として完全にメリットを本数で殺してしまっているなぁという感想です。ただしこの市郊鉄路、他にも数多の数の路線が様々な都市にあり、中には成功している路線もあるようです。しかし大概の路線を見るに本数が貧です。地下鉄程度の本数を捌くのは線路の設備上無理ですけども地下鉄の半分くらいの本数は確保しないと近距離交通としては役目を果たしてるとは言えなさそうです。

 この路線の殆どは犀浦という駅止まりで成都まで行かないのでこの駅で地下鉄に乗り換えます。しかしこの駅は同一ホームで中心部へ向かう地下鉄と今まで乗ってきた高速鉄道が対面で乗り換えられる構造になっています。ハードの面では申し分ないので本当にソフトの面だけですね…、この路線の問題点は。

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犀浦駅。改札があるにせよ高速鉄道と地下鉄で対面乗り換えをすることが出来ます。

 さて、地下鉄で中心部へ行き成都ICカードを購入。その後に、事前に目星をつけておいた麺屋へ徒歩移動。なんというか今に始まったことではないですが四川の料理は本当に辛いですね。街中の店はどこに入っても料理に辛い「何か」が入っておりたいてい赤いです。辛いものが苦手な自分にとっては地獄です。(それでも完食はしましたが。)

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辛い。蕎麦粉の入った麺。

 さて、することがなくなってしまったので今夜の寝台列車の出る成都の駅に戻ろうと思ったのですが、途中で見かけた気になる駅へ行きます。その名も

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「一品天下」駅です。これをツイートしたら滅茶苦茶伸びたので笑いましたが。そういう名のついた美食街の玄関口らしいですね。ちなみに僕は天下一品に入ったことはありません。成都駅についてしまいましたが時間がある+買った成都ICカードの残額がめっちゃ残ってるということで連番オタクに荷物を託して短い録音しやすそうな路線の目星をつけて録音しにいきます。

 11号線という郊外の駅から空港までを結ぶ路線です。生憎都心を通らないので他の路線よりは乗客も少なく録音もしやすかったです。しかしこの都市の地下鉄は必ず列車に警備が一人乗り込み車内をうろちょろ巡回してるので視線を気にしながら録音するのが大変でした。四川だけに!w

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開業してるのは青いところだけ

 適当に戻ったらちょうどいい時間になりました。寝台列車も無事に乗れたので就寝!w

 

4日目 西安→石家庄(車中泊

 午前2時50分頃。車掌に叩き起こされます。中国の寝台は乗っている間は切符と引き換えに「臥铺票」なるカードみたいなのを渡されます。この臥铺票のデザインが客車を受け持つ局によって違うので面白いのですがそれはいいとして降りる際にも切符は必要ですから降車駅の30分ほど前に再び交換にやってきます。その降りる駅が深夜着であれば寝ていると叩き起こされるというわけです。さて更に話を戻します。午前2時50分です。昨日の成都発が19時前だったとはいえ早すぎる朝です。そして降ろされた駅は安康。今日の目的地である西安からは100km以上も離れています。気温氷点下の午前3時。これから今の日本じゃまずありえないような寝台同士を深夜に乗り継ぐ、というガイジムーブを行うわけです…が、自分ら以外にも同じムーブをする一般人民を数人見ることが出来ました。やはり人口が多いだけあって動き方も多種多様なのでしょうねぇ、そして寝台同士の乗り継ぎも案外一般的なのかもしれません。ちなみに改札前の待合室は午前3時の地方の小都市にもかかわらず100人ほど人がいました。列車も時間に3本くらいは発着しているようです。30分ほど座って待った後に西安行の列車が入線。再び寝台へ乗り込み4時間ほど爆睡。起きたら西安に到着していました。

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とっても寒い真夜中の安康

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西安の到着は低床ホーム。低床ホームも数を減らしつつあるので時期に貴重になるのかもしれません。

 西安は中国の中でも特に著名な観光地ではないでしょうか。元の名はかの古都・長安ですから歴史的な観光名所も点在しています。駅前の手荷物預かり所に荷物を預けたのですが、なんと!!!英語が通じる!!!!!感動のあまり涙を流しながら駅前のバスターミナルから兵馬俑へ向かうバスに乗り込みます。しかしこのバス、いつもの中国のバスと違い運賃均一前払いではないようなので困惑しているとバスに乗っていた車掌が「日本人ですか?兵馬俑まで7元です。」と日本語で(しかもそこそこキレイな)話しかけてくるではありませんか!!!!!というわけで7元を払い兵馬俑へ。教科書でおなじみの人形が並んでいるところです。思ってた以上に郊外にあり、1時間ほどかけてようやく到着。事前情報によると日中はかなり混むとのことでほぼ開園凸のような時間に到着。確かに人もまばらでゆっくりと観光できます。観光します。

 さて観光した感想ですが、思ってた以上に凄くないです。教科書で見たような人形がズラッと並んでいるのは一つの建物のうちの1/3くらいで後は発掘中らしく、人形の列がイメージと違うという感想です。まあそれでも中々の感慨深さみたいなのはありますけれども。つづいて抱き合わせになっている始皇帝御陵へ。

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こう見るといっぱいいそうだけど

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こう見ると案外凄くない(というか現在進行形で発掘中)

 丘でした。丘以外何もありません。空気はいいのですがなにもありません。さっさと戻り、市街地へ。行きとは違うバスで地下鉄の終点になっている紡織城へ。ここから地下鉄を乗り継いで事前に目星をつけておいた陜西名物ビャンビャン麺の店で昼飯。その後、もはやお約束となった現地のICカードを購入。地下鉄を乗り継ぎ大雁塔へ。塔にも登ろうか迷いましたが工事中ということで中に入れず断念。代替の観光案を探してたところ、西安旧市街を囲む城壁の上を歩けるということなのでちょうど半周歩いてから駅に戻ることに。ヨーロッパの各都市では城壁が一部残っててそこを歩ける、みたいなのはそこそこあったりするんですがここ西安のものは1周すると20kmですれ違うので精一杯なヨーロッパの城壁とも違い、道幅もかなり広く城壁専用の電動自転車まで貸している始末。なかなか快適に歩けました。

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西安地下鉄はフクチカのように駅ごとにマークが設定されておりこれを眺めてるだけでも面白い。

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こんなような城壁を10km弱徒歩。夜なんかは特にキレイ。

 駅前の李先生で夕食を取り(どうでもいいけど店内放送でATOSのチャイムが流れていた。意味不明。)荷物を回収し、北京行の寝台車へログイン。しかし北京発着の便は人気なようでどの列車も凄い人です。

 

5日目 石家荘→青島(車中泊

 朝の7時頃、途中駅の石家荘で下車。石家荘、おそらく馴染みのない都市でしょう。自分も中国に興味が出るまでは全く知りませんでしたから。そして観光地と言える観光地も全くありません地球の歩き方はには一応載っていますが(どこの必ず省都は載っており、ここ石家庄も省都)、1ページという申し訳程度にしか市内の名所が紹介されていないという状況。ではなぜこんなところで降りるのかというと、かねて中高の頃は日本国内の乗りつぶしを目標に色々なところに飛び回ってましたので、やはり旅行ないし遠征には「目標」のようなものがないと自分はどうしても楽しめないタイプの人間です。かといって人民鉄路乗りつぶしとかはどう考えても無理なのでとりあえず当分の目標として中国国内の全都市の地下鉄に1回は乗る、ことと全省(または自治区直轄市)を訪れることを当分の目標としてやっております。そしてこの石家荘は河北省の省都にして地下鉄が存在するわけです。理由はそれだけです。

 駅前。空気が汚いのは中国なのでしょうがないのですがここは明らかに汚い。この日のpm2.5の数値は北京よりもかなり高く、中国人でも基本的には外出を控えるというレベルの数値を指し示していました。連れがどうやらかなり空気に敏感らしく、外に居るのが辛そうなのでとりあえず駅前の李先生(3回目)に避難。なにもない都市で刷ることを全く決めていなかったので中国特有の朝粥と饅頭を食べながら計画を練ります。その結果、地下鉄とバスを乗り継ぎ郊外の正定という町で観光することに。地下鉄に乗った時点で「石家荘」のノルマは達成していますから、夜の寝台車までこの街にいる必要性はなくなります。

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石家荘駅。(中国語表記で石家庄)いつになく空気が霞んでいる。

 さて、たった4駅しかない2号線を録音しつつ乗り通し、市二中と石家庄北站でバスを乗り継ぎ正定に到着。多くの古寺を抱える正定は古くからこの河北一帯の中心として栄た町で、三国志でも有名な趙雲の生まれた町でもあるそうです。(その辺には全く明るくないのでどんな人かは知らん)しかし、1900年頃に石家荘では鉄道が開通し、2路線の幹線が交差することから交通の要所として急発展した結果、現在350万人を抱える省都にまで発展し、河北の中心都市を正定から奪い去りましたとさ。そりゃ街も新しいうえに深圳みたいな特徴のある産業もないので本に載るような観光名所なんぞあるわけはありませんね。市内の寺を歩いて色々回ります。当たり前のことですが改めて思うに中国も日本と同じ仏教国なんだなぁと改めて感じました。ただ、興味深い菩薩像などもありましたが、まあ日本の著名な古寺なんかを見てしまうと「こんなもんか」という感想を抱きます。ただ町中の寺に必ず五重塔みたいなのがそこらに立っているのは面白かったです。そしてこういう宗教施設でも必ず共産党スローガンがあるのも中国らしくていいですね。

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お寺。日本にもありそう。

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町の中にはこんな塔がわんさか

 観光し終わったところでまだ16時。列車は21時頃の出発ですが、このまま近くにある正定駅から直接駅に行くと非常に時間が余るので、一度バスで市内の中心部に戻り、申し訳程度に石家庄の中心部を訪れます。また折角なので河北の名物であるドンキーバーガー、即ち驢馬肉バーガーを食べます。適当に見繕った店は1人あたり700円と中国の地方ではそこそこお高めのレストランでしたが高い値段を払えばいいサービスが受けられるという法則はどこも同じようで滅茶苦茶美味しかったです。また、例のごとく言葉の壁にぶち当たりましたがこの店はかなり丁寧におすすめの料理やビールの紹介をしてくれました。

 QOLをあげたまま駅に戻り3時間適当に暇を潰して終了。ちなみにこの夜は今まで乗っていた硬臥という寝台とは違い少しランクが高めの軟臥に乗ります。何が違うのかと言えば3段ベットが2段ベットになっている、だとか寝台の扉が閉まる、とか洋式便所がある(これは地味に重要)、とかまあ色々あるのですが、いちばん重要なのはコンセントがベッド際にあることです。これまで寝台に連泊しているわけですが基本的にコンセントが使えない硬臥ではモバブが充電できません。そして手持ちのモバブの残量が2割を切っており、充電は死活問題です。というわけで貧乏旅ですが、ここで1日軟臥を意図的に入れたというわけです。距離によりますがせいぜい1500円位しか違わないのでホテル代と思えば安いもんです。そりでは人権のある寝台で爆睡をします。

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石段の臥铺票。デザインが古臭い。

 

6日目 青島→天津(車中泊

 朝です。青島といえばみなさん何を想像しますか。そうですね、ビールです。青島ビールはそこそこ有名なビールブランドで日本で見かけることも多いと思いますが、ここ青島はまさにそのビールの本社工場のある街です。歴史的には第一次世界大戦前までドイツ領だったこともありビールが有名なのも納得してしまいます。で、何をしに着たのかと聞かれればビールを飲みに来ました。地下鉄もあります。

 到着した青島北から地下鉄で青島站へ移動。すぐ近くにはこんな風景がありますが

 

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こちら青島のシンボルで青島ビールのロゴにも採用されている桟橋の楼台です。啤酒大好き人間としてはおなじみの光景にひっくり返りました。見たことねえぞというそこのあなたは今すぐ近所の酒屋で青島啤酒を買ってきてください。そのまま歩いてドイツ建築と見晴らしのいい公園を行脚。赤屋根が多いのでドイツと騙せなくもないかもしれませんがドイツはこんなに空気は汚くありませんね。

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ドイツは環境先進国ですから

 だいぶ端折りましたが、昼時を過ぎていたのでビール本社工場付近の青島啤酒街へ移動。ここで昼とします。観光地なので価格帯はかなり高めですが折角来たのだから美味しい料理と一緒にビールを頂きたい!ということで昼からビールです。そのビールなのですが、青島市近辺では工場間近ということもありまして生ビールが飲める飲食店が点在しています。(他の地域じゃ青島ビールの生は飲めません。)そして勿論我々が入った店でもこの生ビールをいただけるというわけです。これの無濾過の生がですね、めちゃくちゃおいしいんですよ。水っぽいグビグビ行ける感じの普通の青島ビールを片鱗も感じさせない非常に濃厚なビール。過去に飲んだビールの中で一番美味しいと胸を張って言える代物でした。もう我々はこれだけで有頂天に、1人1ピッチャーくらい飲み酒に弱い自分はだいぶヤバかったですがそこまで進んでしまうかなり美味すぎて”ヤバイ”ビールでした。結局料理を合わせて1人2000円近く払いましたが、ここまで旨い酒を飲めたので問題没有。

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俺が生まれてきた理由。それはお前に出会うため。

 少し落ち着かせた後は隣のビール博物館へ。「博物館」を名乗っていますが、展示の他に工場見学もセットになっております。その中でも興味深かったのは歴史展示です。特に年代ごとの展示で1949年(中華人民共和国成立)から1992年(市場経済制導入)がすっぽり抜けいたのが衝撃でした。あっ、ふーん…(察し)。さらにこの工場の恐ろしいところは工場見学の途中でビールを1杯無料で飲ませるコーナーが出現し、終わった後にも1杯無料で振る舞われるコーナーが存在するという神仕様。既に酔っ払っていた自分にはオァという仕打ちです。美味しいから大丈夫だよ。海外であれするのは色々とやばいので注意しましょうね。(自分は結局してませんが)

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普通に工場見学っぽくて好き。

 見学が終わり、バスと地下鉄を乗り継いで駅へ戻ります。しかしこの街は交通が特に貧弱で、バスは今まで訪れた中国の都市の中でも異様な混雑を呈していました。連番オタクはバスに降りるのに失敗し次のバス停まで運ばれていきました。おもしろい。(おもしろくない)青島北駅に戻り適当に時間を潰して終了。しかしこの駅は高速鉄道のターミナルになっているにもかかわらず駅構内が狭く、現金で飲料を買えるところが一つもないという非常に外国人に厳しめな駅でした。ちなみにこの街にも交通系ICカードがあったのですが、券売機がどこもかしこもQR決済のみの対応で買えず仕舞い。次からは支付宝にチャージをしていくことにします。この日の寝台は青島北発で前回の旅行で訪れた中朝国境の町、図們まで向かう列車です。酔っていたので中々寝付けず日付が変わる頃にようやく寝ることが出来ました。

 

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そのまま北朝鮮までいってくれ

7日目 天津→自宅

 最終日の朝です。4時過ぎに叩き起こされ天津の駅で乗り継ぐ列車を待ちます。当初の予定でしたら北京まで行き折り返すという行程を組んでいたのですが、先述のように北京行きの寝台が埋まっていたのでこのような行程になっています。と言っても日本時間では5時ですからそこまで苦でもないのも事実です。辛いものを幾度となく食べながらここまでなんとか首をつないできた体内ダムもついにここで決壊し、トイレと待合室のベンチを10往復しながら6時半ごろの于家堡行を待ちます。于家堡は天津市の浜海地区にあり、これから乗る高速鉄道では15分ほどの距離にありますが、すぐ隣には天津市内から高速鉄道の線路に並行するように地下鉄も走っています。15分という短い間もひたすらトイレに篭り、于家堡の駅でもトイレに篭ること30分ほど。ようやく人並みの生活を遅れるようになりました。ここからはバスと徒歩で学院区北停留所へ移動します。

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天津は北京から100kmほどの位置なので北京行の本数はかなり多いです。

 ここからはトランスロールというものに乗ります。端的に言えばただの路面電車ですが、明らかに違うのが2本のレールの上を走る普通の鉄道と違いレールが1本しかないということです。中国語では路面電車のことを「有轨电车(有軌電車)」と表現しますが、こちらは「导轨电车(導軌電車)」という表現がなされていました。一応区別されているのですかね、英語ではTramでしたが。フランスの会社が開発したものでスペインに旅行に行ったときは数都市で見たことがありますが、乗るのは初めてです。まあなんというか速度が出ないうえ思いっきり上下に揺れるので非常に乗り心地が悪いです。単純にレールの長さが半分になるので維持費は抑えることができるでしょうが、普通の路面電車のメリットを殺しすぎてる気がします。他都市で見ないのも納得ですね。

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レールが1本、すぐ脱線しそう(こなみ)

 このトランスロールの終点、泰達は先述の高速鉄道と並行する地下鉄、津浜軽軌線と接続しています。このまま天津市内に戻るのも早いので、市街地方面とは逆方向に乗車し、とあるところへ向かうため、会展中心で下車。更に2km程をあるきとあるところを目指します。

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 こちらが、目的地です。一見ただの公園ですが何を隠そうこの公園は3年前の天津大爆発の爆心地なのです。近傍には学校や高層マンションが元からあり、それらはきちんと建物が元通りになっていますが、ここは有害物質が漏れ出した等の事情によりそのまま復旧を諦めて公園にしてしまったそうです。ちなみにこの付近のマンションはほとんど人が住んでいないようで、一種のゴーストタウンと化していました。それは会展中心の駅前にあるイオンも同じで、平日の昼間とは言え恐ろしいほど人がおらず、止まっているエスカレーターも多く見られました。ただ、何を血迷ったのか中国最後の昼食をこの中の「すき家」で済ますことに。折角なので日本のすき家では絶対提供されないラーメンを30元(中国では高めだけど天津の物価考えるとこんなもん?)払って食べてみました。まあなんというか学食のラーメンの味がしましたね。

 だいぶ時間が余ったので、会展中心の一駅先の東海路まで行き一度折り返すことに。折角なのでここで天津の交通系ICを購入。例のごとく紙に「我要交通卡。」と書いて窓口に提示したら「デポジットは18元で最小チャージ単位は30元で北京天津河北の三地鉄で使えて払い戻しは客服中心でやっている…」うんぬんみたいなことをわざわざペンで提示したメモ帳に筆談をしてくれました。なかなか枝葉末節のインフォメーションまで筆談してくれるという服務水準の高さに感動していたら窓口の棚に帰りの飛行機で食べる為にイオンで買ったお菓子の袋を忘れました。津浜軽軌を終点まで乗り通し空港へ。空港では早く着いたことと珍しい日本人の乗客だったこともあり、添乗員に非常口座席への座席指定をお願いされました。普通はLCCって+2000円くらいで事前に非常口座席を売っていますが、向こうからのお願いなので勿論追加料金は発生せず。帰りは4時間ほどの飛行でしたが、普通のレガシーのエコノミーよりも全然快適な座席で成田に着弾するのでした。21時過ぎに空港についたあとは、最終の本線特急を捕まえ(これを逃すと快速で津田沼まで全部停まるようになる)無事に帰宅。おわり。

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最後に空港の駅でそれっぽい写真を撮って退散。

 以上です。次回の出国は2月、行き先はもちろん中国を予定しています。そろそろ忙しくなる時期でしょうが、解禁前にせめて1回はいっときたいですよね?おわります。それでは皆さん良いお年を。

*1:重慶市の人口は3000万強であるが中国の「市」は省と並ぶ行政区画であり、面積はおよそ北海道ほど。いくらなんでも北海道の面積を一つの都市圏として扱うのはナンセンスがすぎるでしょ…

*2:中国のファストフード。ハンバーガーとか当たり障りの無いものしかない。

*3:これも中国特有のファストフード。Dicosと違い麺料理や朝粥など中国っぽいメニューが豊富。